汚れちまった悲しみ

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汚れっちまった悲しみに　今日も小雪の降りかかる　汚れっちまった悲しみに　今日も風さえ吹きすぎる
汚れっちまった悲しみは　たとえば狐の革裘　汚れっちまった悲しみは　小雪のかかってちぢこまる

汚れちまった悲しみ
中原中也・富永太郎・小林秀雄の時代。大正・昭和初期のどこか儚く、無辜な魂とめぐり合いたいような、そんな気がして作ったコーナーです。
中也たちでなくとも、何かめぐり合いたい人物なり精神なりを提示して、僕たちの行方のきっかけにしたいと・・

幾時代かがありまして　茶色い戦争がありました
幾時代かがありまして　冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして　今夜此処でのひと盛り　今夜此処でのひと盛り
サーカス小屋は高い梁　そこに一つのブランコだ　見えるともないブランコだ

頭倒(さか)さに手を垂れて　汚れた木綿の屋根のもと　ゆあーん　ゆよーん　ゆやゆよん
それの近くの白い灯が　安値(やす)いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯　咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻と　ゆあーん　ゆよーん　ゆやゆよん

屋外(やがい)は真ッ暗　暗(くら)の暗(くら)　夜は劫々(こうこう)と更けまする
落下傘奴(らっかがさめ)のノスタルジアと　ゆあーん　ゆよーん　ゆやゆよん

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サーカス『山羊の歌』より　中原中也

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